ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する(原著:スティーヴン・レヴィット, スティーヴン・ダブナー/翻訳:望月衛/東洋経済新報社)感想

ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
割れ窓理論というものがある。軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする理論だ。これを徹底したことで凶悪犯罪が大幅に減ったというニューヨークの話は有名だ。しかし、その割れ窓理論が実践された時期は、アメリカ全土で犯罪が激減した時期と重なる。つまり、割れ窓理論が実践されようとなかろうと、犯罪は減少したはずであり、割れ窓理論がどの程度有効であったのかは、実はよく分からないのだ。
データは嘘をつかない。でもそのデータを恣意的に選択することで、いくらでも相関や因果をでっち上げることができてしまう。恣意的に情報が隠されていたら、正しい判断なんてできやしない。そうして私たちはだまされてしまうのだ。ついでに言うと、何か望ましいと感じるものを信じてしまう傾向も強いのかもしれない。割れ窓理論が受け入れられやすいように。
そんな世の中の裏側を次々と暴き立てる本書は、とても小気味良い。メディアリテラシーなんて言葉がハヤっているけど、正しい判断をするためには、あらゆる情報を元にして回帰分析しないといけないんじゃないかとちょっと絶望的な気分にもなるw まぁそこまで大げさに考えなくとも、何か隠された情報があるのではないか?、そう疑うことは大切だ。
ちなみにこの本に関しては山形浩生氏のエントリーが面白いです。と言うかこれをきっかけに読みました。