電波大戦(本田透/大田出版)

電波大戦
電波男は現実の女がいかに必要無いかを書いた若干攻撃的な内容だったが、この電波大戦は「モテの魔の手」、現実の女からいかに身を守るか、その護身術を極める修行の一環として行った先人たちのインタビューをまとめた本だ。「モテの魔の手」とは著者によると以下の様なチャートで示される危機的状況のことである。

  • モテネーオタクがその悲しみを力に変えてオタク活動に励む
  • その結果、売れたり儲かったり有名になったりする
  • その「結果」に釣られた女たちが虫のように集まってくる(←今ここ)
  • 「オレはモテる!」と思ってしまって、モテネーオタクライフを捨ててしまう
  • オタク活動ができなくなる
  • 落剥して、女も去ってしまう
  • 何も残らない…お…女はおっかねえ、女は信用できねえ!

インタビュー対象となったのは竹熊健太郎岡田斗司夫滝本竜彦倉田英之の四氏。それぞれスタンスが異なるため非常に面白く濃い内容になっている。竹熊健太郎氏は離婚暦有りの立場からの含蓄のある意見を、岡田斗司夫氏はよって来る女はみんな食っちゃえと、滝本竜彦氏は部屋には絶対上げるなと、倉田英之氏はモテの魔の手って何?みたいな。
電波男から派生したと言える本書だが、そこから一つのパラドクスが発生してしまっている。「理想の女性が現実に現れたらどうするの?」だ。つまり、現実に存在していない理想を求めているが、その理想が現実に現れた場合どうするのかということだ。その場合、現実となった理想は理想ではなくなり現実として排除すべき対象になるのかどうか。求める理想は現実ではないから理想なのか、現実の中に見る理想なのか、そのことに対する明確な解答は示されていない。今後これに対してどのように答えていくことになるのか気になるところだ。