文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

著者は「銃・病原菌・鉄」でピュリッツァー賞を受賞したジャレド・ダイアモンド氏。
マヤ文明イースター島、その他過去に栄えた文明は何故滅びてしまったのか、どのようにして滅んでいったのか。残された様々な証拠から、それらの文明が持続可能な環境を維持できず、それが原因で崩壊していったことが本書で明らにされてゆく。
そうして気が付けば下巻の半分ぐらいが現在の環境保護の重要性に割かれていてなんかだまされた気分になるw 環境保護を訴えるためにこの本を書いたなと。とは言えそこに書かれているものはいたずらにセンセーショナルで不安を煽ようなものではなく、自分たちが持続可能な社会を維持するにはどうすべきなのか、それについて建設的な提案がなされていて、だまされて良かったと思える内容ではある。
近代の環境保護政策に関して、ドミニカ共和国の例がエキサイティングだった。ドミニカのバラゲール大統領の政策だ。森林保護を軍にやらせ、不法伐採があれば軍が襲撃、関連施設は軍が破壊、反対勢力は暗殺部隊を使って消す!しかも自分が大統領を辞めるときには法律を改正して、大統領の権限では環境保護に関する政策を変更できないようにするという徹底ぶり。環境保護を追及した独裁者という凄い例だ。

「バラゲールは悪そのものだが、ドミニカ史のあの段階においては、必要な悪だった」

「銃・病原菌・鉄」に続き人類史の謎を解明していく本書は、その謎を解き明かすプロセス&論理もまた圧巻だ。たとえ人類史に興味が無くても、その知的興奮を体験するために読んでもよいかもしれない。