子供たち怒る怒る怒る(佐藤友哉/新潮社)

子供たち怒る怒る怒る
読了。
佐藤友哉の短編集。計6本収録されている。講談社以外から本を出すのはこれが初めてですね。って言うか、これはイイ鬱本ですね。
全て小学生から高校生までの子供たちが主人公。表題の作品は子供たちが始めたゲーム、次の猟奇殺人の犯行を予測する遊びを巡る物語。始めは純粋なゲームだった犯行予測は、やがて偶然とは言えない確立で当てられてゆく。気がつけばそれは予測でも予知でもなく、願望の具現化となっていた。子供たちに負わせる必要の無い責任を、被る必要の無い罪を負わせる大人たちへの復讐。それはやがて、自分たちの不幸を知らない全ての幸せな人々へと向かってゆく。
あらゆるモラルに引きずられない佐藤友哉の作風は、それが鼻についてしまうことがたびたびあるけれど、今回の短編集はそれがあまりなく、非常に落ち着いている感じだ。スカッと爽やかな鬱を提供してくれる。失ってみてその時初めて、その人の不必要さに気づいたことはありませんか?みたいな。