物語そのものより物語を生み出す世界に惚れる - 「リトルバスターズ! エクスタシー」ネタバレ感想

little busters ecstasy

無印版をそのうち再プレイしたいなと思っていたところなので、追加シナリオ版はちょうどよかった。で、あらためてプレイしてみたら結構すっきりした構成になってることに気づいた。

  • 序盤の永遠の一学期、鈴以外の各ヒロインのルートはそのヒロインの望んだ世界。理樹は巻き込まれているだけ状態。
  • 鈴ルートは恭介が準備したもの。恭介の望みどおりに二人は動かず、鈴の心は壊れる。世界の終わりで理樹は誓う、「もっと強く生きる」と。
  • 鈴の心が壊れたまま世界はリスタート。ここで初めて理樹は自分から動き始める。リトルバスターズの再結成を願う行動はかつて自分を救った恭介の行動のトレースとなる。
  • 再結成、理樹の成長とともに役割を終えた虚構世界は崩壊し、現実世界の事故現場へ。
  • 理樹はみんなを救うために必要なのは弱さの克服であることを知る。自分の過去を探り、弱さの根源(両親の事故死)を理解する。
  • 鈴も「強く生きる」ことを誓う
  • 理樹と鈴が強く生きるという意志を持つ世界、みんなが望んだ世界の条件がそろう
  • ハッピーエンド

失敗したら何度でも繰り返せる、ゲームとプレイヤーの関係をメタファーにした世界をゲームにしているのがすごくイイ。しかも世界がリセットされてもその世界のプレイヤーの経験と思いはリセットされない点がスリリングであり面白い。
個別のシナリオだけでなく、ゲームとしてプレイされることを取り入れた世界の仕組みの巧みさ、これがKey作品を好きな大きな理由のひとつなので、この作品はまさにオレ好みでお気に入り。ただアニメ化されたりするとこの辺の良さがまるでなくなるので微妙な気分になるんだよね…。(以下、京アニ版の例)

  • Kanon → ひとつの世界で奇跡起こりすぎ
  • A I R → 常に第3者視点でいろいろ台無し
  • CLANNAD → 朋也モテ過ぎ

劇場版は…、二次創作だと思って観るといいのかな、うん。